ていねいに、ブログ

「小さなお店のはじめかたゼミ」卒業生のその後③

(2018年5月に取材しました)

5月より第9期をスタートする「小さなお店のはじめかたゼミ」。
これまでの受講生の中には、すでにお店を開業した方も何人かいらっしゃいます。
そこでこのブログで、その方たちのお店にお邪魔して、開業までのこと、ゼミに参加した感想などを聞かせていただこうと思います。

 

今回お話をうかがうのは、高野智子さん。

実は高野さんとは、僕の前職である安曇野市の宿泊施設、穂高養生園時代に一時期、一緒に働いたことがあります。

その時は主にヨガのクラスの担当していましたが、オイルトリートメントや足つぼマッサージのセラピストとしての経験の方が長く、穂高養生園を辞めた後も都内や沖縄のホテルのサロンでセラピストとして働かれていました。

「小さなお店のはじめかたゼミ 第3期(2017年1月~3月)」に参加し、その年の9月に大江戸線落合南長崎駅近くにアロマトリートメントのサロン「Saji Treatment」をオープン、現在に至ります。

 

高野さんのサロンに入るとまず目に付くのが打ちっ放しのコンクリートの壁と、大きな窓から入る明るい光。

リースやお花、ソファなど備品の一つ一つにも高野さんの気持ちが入っていて、とても落ち着く空間です。

こちらもリラックスしてインタビューをすることができました。

 

福田:今日はよろしくお願いします。

高野さんは、これまで主にホテル内のサロンのセラピストとして働いていたのですよね。

なぜ開業して自分でサロンをはじめてみようと思ったのですか。

 

高野:私がマッサージの仕事をはじめたのは20年くらい前なのですが、実はその頃の方が、自分のサロンを開業したいという気持ちが強かったんです。

結構、具体的に考えていたんですよ。一緒に住んでいたおばあちゃんが大好きだったので、おばあちゃんと組んで「足つぼマッサージバス」を作ってみようかとか。おばあちゃんに受付を担当してもらって、いろんなイベントに出たら楽しいかなと思って。

 

福田:「足つぼマッサージバス」、移動式のマッサージ店ということですね。斬新かも。

おばあちゃんが受付をしてくれたら親しみやすそうですね。

 

高野:ただ、現実的にお金をどうするとか、体力的にどうかと考えはじめてしまって。

ヨガの勉強や旅行など、他にやりたいことも出てきたというのもあります。自分でやりたいっていうのが、そこまで優先ではなくなってしまったんです。

それが、ホテルのサロンで働いているうちに、このペースで続けていくのは無理だと感じるようになってきました。どうしても深夜までの勤務になってしまい、体力的に厳しいなと思うようになりました。

もちろんフリーでやっていくのも大変なのはわかっているけど、どうせ大変なら自分の実になるようなことをやっていけた方がいいなと思ったんです。

自分自身が伸びやかにできるスタイルで働きたいな、と。

 

福田:そうなると、自分でやるしかない、という感じだったんでしょうか。

 

高野:そうですね、やらないと気が済まなかったというか。

でもいきなり開業というよりは、最初はイベントに出店したり、レンタルサロンを借りてやっていくところから始めた方がいいのではとも考えていました。

気持ちとしては半々でしたね。

 

福田:ゼミに参加したのはその頃ですよね。

 

高野:はい、ちょうどその頃ゼミ開催の告知を読んで、その言葉がすごいヒットして。

 

福田:ヒット! どの言葉がヒットしたんですか。

 

高野:え?なんだっけ。忘れちゃった(笑)。

なんか、じんわり来る言葉だったんですよね。

でも、サロンを開業するにしろ、イベント出店中心にいくにしろ、個人事業主としてどんなことをやっていくのかという勉強になるかと思いました。

 

福田:実際に参加してみてどうでしたか。

 

高野:自分のプランを発表した時に、他の参加者の方の反応がみれたのが良かったです。

それまで、周りの人に話をしてもモヤモヤっとした曖昧な反応だったんです。

ゼミの参加者の方は、言葉は優しいけどニュアンスで、これは「あり」と思っているんだなとか「ない」と思っているんだなというのがよくわかって。正直な反応が伝わってきました。

その反応を踏まえて、自分の考えが整理できました。

また、「ていねいに、」の開業までの流れを聞けて、開業の疑似体験をできたのも大きかったです。こんな時には誰に話を聞きに行ったとか、こういうポイントを押さえておく必要があるとか。

まずは無理しないで、やれるところからやっていけばいいなと思えるようになりました。

 

福田:3月にゼミが終わって、6月に自宅の一室でサロンをはじめましたよね。

 

高野:はい、でも自宅ではやっぱり無理があることがわかりました(笑)

住所を書くこともできないし。どうしても制限がありますよね。

それでやっぱり場所を借りてサロンをやろうと思いました。

 

福田:それも結構早く、9月に実現しましたよね。

すごくいいペースで動いていたなという印象があります。

 

高野:グズグズしていると機会を逸するという気持ちがあって。

これまで10年以上、やりたいと思いつつ、なかなか実現しなかったので。

 

 

福田:サロンを開業して約半年経ちます。

率直な感想を教えてもらえますか。

 

高野:やっぱり楽しいです!

勤務だと、どうしても制約がありますよね。

自分としては違うなと思いつつ、上の人に言われた対応をしなければいけないとか。

それが一番ストレスだったんですよね。

ただ一方で、怖さもあります。

 

福田:怖さ?

 

高野:今まではお客さんが、○○サロンの高野さん、として来てくれていました。

極端に言えば、施術とか接客だけ考えていれば良かったんですが、自分の店だと全てに責任が伴いますよね。

例えばホームページとかサロン内の細かいものについても、自分に対する評価になってくるので、お客さんの反応に一喜一憂し過ぎているかなと。

 

福田:一人で経営していると、細かいことも全て一人で決めないといけないですよね。

施術後のお茶は何を出すとか、タオルはどんなものにするか、とか。

 

高野:お客さん一人一人の反応が違うので、ある程度割り切っていかないときりがないなと。

他のお店の方も、自分たちで折り合いをつけながらやっているんだなと、今更ながらわかりました。

 

福田:いい面も大変な面もありますが、開業して良かったと思いますか。

 

高野:良かったです。

正直、収入面などまだまだなところもありますが、続けていきたいと思っています。

 

福田:今後、このサロンをこういう風にしていきたいというのがあれば教えてください。

 

高野:外に出て行く機会を増やしていきたいと思っています。

イベント出店とか、出張とか。

 

福田:原点に戻って、「マッサージバス」はどうですか。

 

高野:ああ、いいですねー。

店舗を持つのはいいんですが、やはりどうしても固定費として家賃がかかってしまうので、それに捉われるよりは思い切って移動式にするのもありかも。

 

福田:穂高養生園時代に受けた、高野さんのヨガのクラスはとてもリラックスできました。このサロンでも、プライベートヨガクラスなんていいと思いますけど。

ヨガマットさえあれば、すぐにでもできそうですし。

 

高野:確かにプライベートヨガならこのスペースでもできますね。

ヨガまで行かなくても、ストレッチの個別指導をオプションで加えるのもいいかな。

まずはやれるところからやってみます。

 

 

お店情報

Saji Treatment

豊島区南長崎4-6-5-302

https://ecodaaromabu.jimdo.com

 

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小さなお店のはじめかたゼミ 第9期