ていねいに、ブログ

「小さなお店のはじめかたゼミ」卒業生のその後④

(2018年7月に取材しました)

5月より第9期をスタートする「小さなお店のはじめかたゼミ」。
これまでの受講生の中には、すでにお店を開業した方も何人かいらっしゃいます。
そこでこのブログで、その方たちのお店にお邪魔して、開業までのこと、ゼミに参加した感想などを聞かせていただこうと思います。

 

今回お話を伺うのはなかむらかえるさん。
「かえる?」って思ったかもしれませんが、もちろん本名ではありません。
かえるさんは占い師として活動されていて、「なかむらかえる」というのはその芸名というか占い師名です。

 

実はかえるさんとのお付き合いは結構長くて、最初にお会いしたのは「ていねいに、」で開催している「自宅でできるお灸講座」に参加していただいてから。
確か、開店してすぐ、2013年の5月か6月頃だったと思います。
その後、「朝のボランティア(※1)」としてお手伝いいただき、2013年末からは「金曜夜の占い(※2)」を担当してもらいました。
2015年の9月から「ていねいに、」の定休日である月曜日に、イケマカナコさんと一緒に「きっさとうらない なかなかどう」の営業をスタート。
2018年の2月には、吉祥寺のカフェ「キチム」さんの脇のスペースで「なかなかどう アトリエkiChi」をオープンし、現在に至ります。

 

「小さなお店のはじめかたゼミ」には、2017年の5月から7月の第4期に参加していただきました。
その時の発表時に「町にとけ込む、保健室のような占いの場所」をコンセプトに活動していきたいとおっしゃっていたのが印象的でした。
まさにそんな雰囲気の「なかなかどう アトリエkiChi」にお邪魔しました。

 

(※1)朝ごはんの営業を1時間程度手伝ってもらい、その報酬としてお金ではなくまかないご飯をお出しする制度。
かえるさんは2013年の夏、朝のボランティアを最初に募集した時から参加してくれました。
今は朝ごはんの営業自体を辞めてしまったのですが、昼ごはんと夜ごはんの時間にボランティアの方に入ってもらっています
(※2)毎週金曜夜の18から21時までの間、「ていねいに、」のセラピールームを使って行った占いのセッション。
タロット10分1000円という親しみやすい価格で、夜ごはんのお客さんにも好評でした。

 

 

吉祥寺の路地の地下にあります。

 

扉を開けると、中にはこんなスペースが。

 

■役にたっている感じがした

 

福田:今日はよろしくお願いします。
かえるさんと最初にお会いしたのは、うちで開催しているお灸講座でした。
終わってから「ここで占いの講座をしたいんですけど」と言われたのをよく覚えています。

 

かえる:はい、そうなんです。
お灸講座に興味があったのと、なんとなく「ていねいに、」さん自体に興味があったので。

 

福田:開店当初から、レンタルスペースもしていました。
占いの講座を開催する場所として興味があったということですか。

 

かえる:講座をやってみたいと思っていたのですが、会議室のようなところでやるイメージがなくて。
「ていねいに、」なら雰囲気が素敵で、気軽な感じでできそうだなと。

 

福田:当時、かえるさんは占い師として活動されていたんですか。

 

かえる:その時は、時々単発でイベントに参加して1対1のセッションをしていたくらいですね。
講座は全然やっていませんでした。
セッションはセッションで意味があると思うのですが、講座をすることで、占いは自分でできるということを伝えたいなと。

 

福田:なるほど、占い師としてセッションするだけではなく、自分のための占いをする講座を開催したかったと。
ちょっと話が変わりますが、元々、かえるさんが占い師になろうと思ったきっかけはなんでしょうか。

 

かえる:最初から占い師になろうと思ったわけでは全然なくて。
昔から知っている人が開催した占い講座に参加してから、占いに興味を持ちました。
その講座は占いは誰にでもできますというコンセプトで、人のために占うというよりは、自分のために占うためのものでしたね。
当時は、自分が占い師になるというイメージは全然なくて、なんか面白そうだなという感じでした。

 

福田:じゃあ元々占いに興味を持ったのも、占い師が行う1対1のセッションというよりも自分のための占い講座だったんですね。

 

かえる:そうです、そうです。

 

福田:その講座は、タロットカード?

 

かえる:そうです。
なんか私、占うというより考えるのが好きみたいです。

 

福田:考える?

 

かえる:タロットは出たカードにそれぞれ意味があって、それを組み合わせてストーリーを作っていく作業なんです。
それが面白いと思ったんです。
タロットって、考える作業がメインなんですね。私、霊感とかは全然なくて。

 

福田:最初は自分のために占っていたのが、人のことをみるようになったのはなんででしょうか。

 

かえる:自分のことを占い尽くして、飽きたんです(笑)

 

福田:確かに、自分だけだと悩みごともそんなにないですよね。

 

かえる:そうなんです。
それでイベントに出て、全く知らないお客さんのことを占った時に、妙に手応えがあって。
すごく感触が良かったんです。

 

福田:お客さんの反応が良かった?

 

かえる:お客さんが喜んでくれたので、役に立っている感じがあったんです。
それが「あ、いいなー」と思って。

 

タロット占いをしているフリをしてくれたかえるさん。

 

■一人だとつまらない

 

福田:その後、うちの店で「朝のボランティア」をしてくれましたよね。
ボランティアへの応募のメールが印象に残っているのですが、「スナック兼占い処を将来やりたい」と書いてありました。

 

かえる:占いだと少し敷居が高いので、飲食と絡めるといいのではと考えていたんです。
占いをやりつつ、お酒を出したり、食べ物を出したりと。
ただ私は、飲食業もですが、客商売の経験も全然なくて。

 

福田:じゃあボランティアに応募したのは、飲食業の体験とか、仕組みを見てみたいなという気持ちがあったんですね。

 

かえる:そうです。飲食店の中を知ってみたかったんです。

 

福田:実際に中を知って、どうでしたか。

 

かえる:はい、やっぱり私には無理だなと(笑)

 

福田:確かに、飲食は飲食で結構大変ですよね。
でもそう思った割には、長く続けてくれましたよね。

 

かえる:はい、2年やりました。
まかないのご飯が美味しかったので(笑)

 

福田:そんなに長く!
あらためて、ありがとうございました。
朝のボランティアを続けながら、「金曜夜の占い」がスタートしました。
これが定期的に占いをする機会としては初めてだったんですね。

 

かえる:難しかったけど、すごくいい経験になりました。
それまでは単発のイベントでしかやったことがなかったので。
そして楽しかったです。
占いを通して、その方と接するというのが好きなんだと思います。

 

福田:うちの場合スナックではありませんが、かえるさんが考えていた飲食店と一緒に占いをするという形を一応実現しましたよね。

 

かえる:なんかたまたまの流れでそうなってきたという感じなんですよね。
「ていねいに、」の金曜夜の占いの場合も、そちらから声をかけてくれたので実現しましたし。
ただ、私一人で占いだけするよりも、いろんな人が関わってくれた方が面白くなりそうだなと思っています。

 

福田:面白いというのは、かえるさん自身がということですか。
それとも、場として面白いということでしょうか。

 

かえる:両方ですね。私も、場所も。
私一人だと、真面目にやるんだけど、つまらなくなるような気がするんです。

 

福田:そんなことはないと思いますけど(笑)
ただ、シェアをしたり、いろいろな人が関わる仕組みにすると、自分自身では思い通りにいかないことも出てきますよね。
自分の色が出せないというか。

 

かえる:そこについては、誰でもOKというわけではないと思います。
誰かとかかわった方がより面白かったり大きくなるというのはあるのですが、
やっぱりそれは全然誰でもよいわけではなくて。
私の場合はたとえば「ていねいに、」という場所やイケマさんという人でないとだめだった気がします。
よい時によい場所やよい人に出会ったことが大きくて、そこから面白くなっていった方が先かもしれないですね。
これからはまたわからないですが…。

 

本の貸し出しもOK

 

■すきま産業的にやっていく

 

福田:「なかなかどう」時代は、占いの仕事以外にアルバイトもしていましたよね。

 

かえる:派遣社員としても働いていました。
徐々に占いの比率を上げていった感じです。
占い専業になったのは「なかなかどう」をしている途中の2016年の夏頃でしたね。

 

福田:占い師専業の方って少ないですよね。
素直にすごいなと思います。

 

かえる:私もなんでやってけているのか謎なんです(笑)
でも、セッションだけではなく、講座をやっているのが大きいと思います。
収入的にも、講座の方がセッションよりも上ですね。

 

福田:元々、講座をメインとしてやりたいという気持ちがあったんですよね。

 

かえる:はい。でも、どっちも大事です。
教えるだけではまずいと思っていて。
実際にセッションで接したお客さんから得たエッセンスを、講座の生徒さんに伝えていくという形にしていかないと。
あとやっぱり、セッション自体も好きなんですね。
そっちをやってこその講座かなと。

 

福田:今後、どうしていきたいとか考えていることはありますか。

 

かえる:いや、あまり考えていないんです(笑)
でも、すきま産業なので、すきま産業的にやっていこうかと。

 

福田:なにか具体的に考えている「すきま」はあるんですか。
今だと、スカイプ占いとか。

 

かえる:スカイプはやっていった方がいいかなと。
可能性がありますよね。

 

福田:一気にお客さんが日本中、それこそ世界中に広がりますよね。

 

かえる:はい、いろいろやってみたいです。

すきま産業の中で、目の前のことにベストを尽くしていくと、

そしたらまたなにか先につながる何かも出てくるのかなと考えています。
これまでがわりとそうだったので。

あと、時々外に出たいですね。イベントとか。

 

福田:この場所、隠れ家的な不思議な雰囲気なので、たまには外に出たくなりそうですね(笑)
逆に取材する場所として面白そうですけど、取材の依頼はありますか。

 

かえる:今のところ、あまりないですね。

 

福田:この雰囲気はなかなかないですよね。
Hanakoではないかもしれないけど、散歩の達人とか良さそうですよね。

 

かえる:散歩の達人、来てほしいですね。

 

 

■インタビューを終えて

かえるさんに「ていねいに、」で占いをやってもらおうと思ったのは、いい意味でカリスマ性がなかったからです。(褒め言葉です)
占いというと、「ああしなさい」「こうしなさい」と命令のようにして、その方の主体性を奪ってしまい依存させてしまう印象があったのですが、
かえるさんの場合はそんな感じが全然ありませんでした。
占いを受けた方に指図するのではなく、一緒に考えていこうという立ち位置がいいなと。
このインタビューでも、そんなかえるさんの雰囲気が出ているんじゃないかと思います。

 

 

お店情報
なかなかどう アトリエkiChi
東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目14−7 吉祥ビルB1F キチム階段横
http://nakanaka-web.strikingly.com

 

 

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小さなお店のはじめかたゼミ 第9期